2010-09-08

霧の中の風景

1988年
ギリシャ・フランス
監督:テオ・アンゲロプロス
出演:ミカリス・ゼーケ/タニア・パライオログウ/イリアス・ロゴテティス・ミハリス・アナトゥス/コスタス・ツァペコス/ディミトリス・カンベリディス/ヴァシリス・コロヴォス/ソクラテス・アラフォウツォス/イェラシモス・スキアダレシス

04Sep.'10 新文芸座
★★★★★

姉弟にとって、父親って何だったんだろう。

ありがちな言葉になってしまうけど、
この旅は、旅というより、人生そのもののように見える。
けど、幼い姉弟には過酷すぎる。。。
そんな過酷な人生を、その齢で知る必要などないはず。。。
列車に乗るという境界をひとつ越してしまったばかりに、
始まってしまった人生の旅路。
引き返すことすらできなくなってしまった。
姉のヴーラは痩せっぽちのカラダで、
覚悟を決めて、全てを受け止めようとしていて、
その健気さが、ホントに切ない。
そして、その酸いも甘いもを知ってしまうことになる。

そこまで姉弟にさせる、
その父親という存在は一体何だったんだろう。

結局、ドイツ国境は越えて、
霧の中が見えるようになって、
ほんのちょっとだけほっとするけど、
決して旅が終わったわけではない。。。
姉弟はいつまでも終わらないこの旅を、
ずっと続けていくのだろう。

なんとも不思議な場面やモチーフがよく出てきて、
例えば、雪が降ってきたといって、
警察の職員が全員上を向いて静止していて、
まるで時間が止まったみたいになったり。
手の塑像がヘリコプターで吊られて、空に浮かんでいたり。
何の意味があるのかは分からないけど、
なんとも意味深、意味ありげ。。。

ヴーラの端正な顔立ちで、まっすぐな目に、
ドギマギする瞬間が何度もあった。

なんとか温かいベッドで二人をゆっくり休ませてあげたい。
そういう場所を早くみつけてほしい。

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