2011-01-10

告白

2010年
日本
監督:中島哲也 原作:湊かなえ
出演:松たか子/岡田将生/木村佳乃/高橋努/井上脇海/田中雄土/西井幸人/能年玲奈/橋本愛/三吉彩花/山田諒/山谷花純

05Dec.'10 早稲田松竹
★★☆☆☆

ああ、『嫌われ松子の一生』を観た時と、
同じ印象を受けてしまった。。。

結局、映像が「闇夜のステッキ」なのよ。
遠目からはキラキラしてるものが並んでるんだけど、
よくよく明るいところで見たら、
たいしたものじゃなかった、、、みたいな。
どこかで見たようなCMの技巧ばかりのオンパレード。
その技術はそれなりのものがあるとは思う。けど、
そういうのはひとつ効果的に使えば、十分。
こんなに並べられたら、その効果なんて半減するし、
本末転倒で、そもそも何がしたいのかすらわからなくなるよ。

それでも『松子』は、松子の個性的な人物像を描けばいいので、
こういう映像でもまだよかった。
ファンタジーとして受け入れられるからね。
でも、こんな社会派の題材を扱うなら、
とことんリアリティを追求してくれないと、
嘘くさくて、観ていられなくなる。

物語の設定があり得なくて、毒ばっかりでも、
それはそれでいいと思う。
実際に先生がこんな告白をして生徒に復讐なんてしたら、
問題にならないわけがないけど、そんな無理な設定でも、
現実だと錯覚してでも観ることができれば、
なにかしら訴えるものが浮き彫りになってくるはず。

「どっかーん」に、違和感があった。
びっくりはするけど、区切りがついちゃうんだよね。
「ばちん」がいつくるかわからない、不気味さがあるから、
少年Aも少年Bも怯えてたんでしょ。
わけがわからず、ひたひたやってくるから、怖い。
いつまでも終わらない、なくならないから、さらに怖い。
その怖さがあればこそ、いじめや虐待ってことを、
正面から考えようとするだろうし、
親と子、先生と生徒、友だち同士の関係、
人とどうつきあうか、向き合うかを理解するし、
孤独がどんなに辛いものなのかを知るんだと思う。
爆発しちゃうと、日常の「ぱちん」はどこかに追いやられて、
忘れられてしまう。。。
本当の怖さは終わらないこと。
「どっかーん」は緊張を解放しちゃうんだよ。

「どっかーん」的なものは、
山場を作るには必要なのかもしれないけど、
そんなのは、物語?か、映画?かの都合でしかない。
結果、何を訴えたいのかが希薄になってしまった。
扱っている題材は気が遠くなるほど、重いのに、
どうにも薄っぺらで、単なる娯楽映画になっている。
かといって、楽しめるものでは決してない。
どこをどう切りとっても中途半端にしかみえない。

松たか子は確かに巧かった。
抑えた演技に、すごく迫力があった。
なのに、それすらうまく使い切れてないように思えた。
(2010.12.30)

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