2010-06-16

牡牛座 レーニンの肖像

2001年 
ロシア・日本
監督・撮影:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:レオニード・モズゴヴォイ/マリーヤ・クズネツォーヴァ/ナターリヤ・ニクレンコ/レフ・エリセーエフ/セルゲイ・ラジューク

03Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

シアンの映像がなんとも幻想的で、
瀟洒な館と万緑の森が瑞々しく美しい。
その反面レーニンの人間としての姿が
残酷なほど生々しく描かれていた。
そしてそのレーニンを取巻く空気がどうにも重たくて、
弛むことのない緊張感がそこここに漂っていた。

自由のきかない身で、惚けかかっていながらも、
手紙が自分の手元にこないことや
電話が取次がれないことは知っていて、
周りには監視の目があり、
その意味することもわかっていて、、、
築き上げてきたものが自分の手から離れようとする運命を、
受け入れられない苛立ちが見え隠れする。

妻と二人で森でピクニックをするシーン。
このまま政治も革命も主義も思想もすっかり忘れて、
仰々しい警備などもだれもいなくなって、
こうやって二人でこの美しい森で過ごしたら、
どんなに安らかで幸せな余生になることかって、
ワタシなんかは短絡的に思ってしまう。
権力を握ってしまった人間が
そんなコトを望むわけがないし、
また許されるはずもない。
それはそうなのだが、
このソクーロフのこの映像の中でなら、
そんな道もあってもいいのにと思わせる一瞬、
ほんの一瞬だけど、あったのだ。

レーニンのこととか、ロシア革命のこととか、
もっとよく知っていたら、
もっともっと理解できることがあったんだろうなぁとは思う。
でも歴史を知らなくても、権力者の凋落や、
革命の父にもどうすることもできない病いに支配される、
その悲哀や嘆きは十分感じられた。
 (2008.7.17)

0 件のコメント:

コメントを投稿