1976年
イタリア・フランス
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ/エンリコ・メディオーリ/ルキノ・ヴィスコンティ
主演:ジャンカルロ・ジャンニーニ/ラウラ・アントネッリ/ジェニファー・オニール、マルク・ポレル
31Jul.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★★
とにかく空気が重い。
豪奢な屋敷や格調高い調度品のせいなのか、
美しいけど窮屈なドレスのせいなのか、、、
様々な思惑を宿した気がねっとり絡み合っている。
その空気の濃度を高くしているのが、
主人公トゥリオの身勝手な言動である。
だいたい自分の妻(ジュリアーナ)に
「おまえは妹のような存在で、愛人になったことはない。
テレーザは愛人だ。許してくれ」なんて台詞、
イタリア貴族なら許されるのか?
それでも貞淑な妻はそんなトゥリオを受け入れるのだが、
気持ちは抑えようにも抑えきれず、悶え苦しむ。
そんなジュリアーナがあまりにエロティックだった。
重々しい空気の中だからこそ、なおも艶かしかった。
ジュリアーナは作家のフィリップ・アルポリオと
愛しあうようになり、フィリップの子を身籠る。
トゥリオは堕ろせというが、ジュリアーナは頑に産むという。
柔順だったはずの妻が自分の思うようにいかなくなり、
トゥリオは焦りをみせる。そして、出産。
トゥリオは現実に耐えられなくなり、、、
トゥリオの傲慢さは
自分中心に世の中が動くという妄想の中にあったが、
生身のトゥリオは実はその傲慢ゆえの運命に翻弄されてしまう。
自信に満ち溢れて輝いていた瞳が、
焦燥感や苛立や不安が忍び込み、翳りを帯びていた。
嫉妬という感情から逃れられない瞳。
それがまた何ともいえなくエロティックだと思った。
昼ドラのような物語設定ではあるものの、
ヴィスコンティならではの人間を見せてくれている。
人は追いつめられた時どうなるか、、、
この空気感でなければ
表現できない本質があるように思った。
唯一リラの別荘で二人が愛しあった時だけは、
その重圧から解放され、爽やかな風が吹いていた。
この夫婦にとってこれだけは嘘のないひとときだった、
と、信じたい。
(2008.8.24)
2010-06-20
2010-06-19
ルードウィヒ
1972年
イタリア・西ドイツ・フランス
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ主演:ヘルムート・バーガー/ロミー・シュナイダー
01Aug.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★★
暗い映画だった。
夜とか、闇とか、影とかが印象的だった。
昼でも建物の中だと厚いカーテンのせいか、やっぱり暗い。
太陽が燦々と降り注いでいるシーンがほとんどない気がした。
ルードウィヒは太陽というより青白い月のイメージ。
儚く脆いガラス細工のように繊細な月の王さま。
頼りになる、支えになる、
信用できる側近がいないってのが、
ルードウィヒの最大の不幸。
政治だの経済だの戦争だのという
生臭い現実など見ようとするわけがなく、
それに立ち向かえるだけの図太さも持ち合わせていない。
美しさを追求する芸術に傾倒していくのは
自然といえば自然の成りゆき。
音楽や花や月の美しさは理解できても、
国を統治する責任の重さを実感することはない。
つまり戴冠して以降、
ルードウィヒは現実を生きてはいない。
妄想の中に放り込まれたまま、
確かなものを何一つ手にしていない。
寄りかかれるものを求めれば求めるほど、
孤立していく、、、
当然、狂うべくして狂うのである。
唯一現実があったとするならば、
エリーザベトの存在ぐらいだろう。
それすらルードウィヒにすれば
とらえることが適わない存在なのだから、
支えにもならない夢物語になってしまう。
やっぱり、ヴィスコンティ。重い、重い。
とことん隙がない。独特の緊張感がある。
とにかくピーンと張りつめている。
でもルードウィヒの美しさに惹き込まれるので、
4時間は長くなかった。
(2008.8.25)
イタリア・西ドイツ・フランス
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ主演:ヘルムート・バーガー/ロミー・シュナイダー
01Aug.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★★
暗い映画だった。
夜とか、闇とか、影とかが印象的だった。
昼でも建物の中だと厚いカーテンのせいか、やっぱり暗い。
太陽が燦々と降り注いでいるシーンがほとんどない気がした。
ルードウィヒは太陽というより青白い月のイメージ。
儚く脆いガラス細工のように繊細な月の王さま。
頼りになる、支えになる、
信用できる側近がいないってのが、
ルードウィヒの最大の不幸。
政治だの経済だの戦争だのという
生臭い現実など見ようとするわけがなく、
それに立ち向かえるだけの図太さも持ち合わせていない。
美しさを追求する芸術に傾倒していくのは
自然といえば自然の成りゆき。
音楽や花や月の美しさは理解できても、
国を統治する責任の重さを実感することはない。
つまり戴冠して以降、
ルードウィヒは現実を生きてはいない。
妄想の中に放り込まれたまま、
確かなものを何一つ手にしていない。
寄りかかれるものを求めれば求めるほど、
孤立していく、、、
当然、狂うべくして狂うのである。
唯一現実があったとするならば、
エリーザベトの存在ぐらいだろう。
それすらルードウィヒにすれば
とらえることが適わない存在なのだから、
支えにもならない夢物語になってしまう。
やっぱり、ヴィスコンティ。重い、重い。
とことん隙がない。独特の緊張感がある。
とにかくピーンと張りつめている。
でもルードウィヒの美しさに惹き込まれるので、
4時間は長くなかった。
(2008.8.25)
山猫
1963年
イタリア・フランス
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:バート・ランカスター/アラン・ドロン/クラウディア・カルディナーレ/リーナ・モレッリ/パオロ・ストッパ/ロモーロ・ヴァッリ
23Jul.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★★
瀟洒な館、贅沢な調度品、きらびやかなドレス、
優雅な舞踏会、、、
ゆったりとした時間の流れの中の格調の高い映像、
美術は溜息もの。
空気がねっとり重くて、息が詰まるほどだった。
物語はイタリア統一を歴史的背景に、
シチリア貴族の斜陽と新興階級の台頭を描く。
時代が移り変わる寂寥感とサリーナ公爵の苦悩。
新旧交代に容赦はなく、
受け入れざるを得ない公爵の律する姿が
やるせなくも麗しい。
最後にアンジェリカと踊るワルツは、
終焉にふさわしく美しく厳かですらあった。
若いアラン・ドロンもかっこいいけど、
なんといってもバート・ランカスターは魅惑的だった。
(2008.8.16)
イタリア・フランス
監督:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:バート・ランカスター/アラン・ドロン/クラウディア・カルディナーレ/リーナ・モレッリ/パオロ・ストッパ/ロモーロ・ヴァッリ
23Jul.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★★
瀟洒な館、贅沢な調度品、きらびやかなドレス、
優雅な舞踏会、、、
ゆったりとした時間の流れの中の格調の高い映像、
美術は溜息もの。
空気がねっとり重くて、息が詰まるほどだった。
物語はイタリア統一を歴史的背景に、
シチリア貴族の斜陽と新興階級の台頭を描く。
時代が移り変わる寂寥感とサリーナ公爵の苦悩。
新旧交代に容赦はなく、
受け入れざるを得ない公爵の律する姿が
やるせなくも麗しい。
最後にアンジェリカと踊るワルツは、
終焉にふさわしく美しく厳かですらあった。
若いアラン・ドロンもかっこいいけど、
なんといってもバート・ランカスターは魅惑的だった。
(2008.8.16)
若者のすべて
1960年
イタリア・フランス
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:アラン・ドロン/レナート・サルバトーリ/アニー・ジラルド/クラウディア・カルディナーレ/カティーナ・パクシヌー
15Jul.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★☆
5人の兄弟を描いているのだが、
誰もがもっている5つの資質を
意味しているようにもみえる。
5人揃って、ひとりなのではないかとふと思った。
長男のヴィンチェンツィオは結婚して家をでている。
この家族から離れて外からみている存在。
双璧をなすのが次男のシモーネと三男のロッコ。
シモーネはやんちゃでお調子者。
ロッコは真面目で優しい。
はじめは軽い気持ちのシモーネの悪さが、
どんどんエスカレートする。
ロッコはそんなシモーネを護ろうとする。
ロッコが聖人君子になればなるほど、
シモーネは行き場を失ってしまい、
堕ちるところまで堕ちてしまう。
ロッコは自己犠牲で
シモーネを許して庇おうとするのだが、、、
四男のチーロが一番現実的で冷静な判断をする。
ロッコは間違っていると指摘する。
五男のルーカはそんな兄たちをじっとみつめている。
この家族の未来といってもいいかもしれない。
最後に母親はシモーネのことを
「あの子はいいこ」だと嘆いていた。
母親の心の叫びである。
こうなってもなお息子を信じている。
物語の展開があるので、3時間は長くはなかった。
アラン・ドロンは美しい。
ナディア役のアニー・ジラルドはかっこよかった。
(2008.7.31)
イタリア・フランス
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:アラン・ドロン/レナート・サルバトーリ/アニー・ジラルド/クラウディア・カルディナーレ/カティーナ・パクシヌー
15Jul.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★☆
5人の兄弟を描いているのだが、
誰もがもっている5つの資質を
意味しているようにもみえる。
5人揃って、ひとりなのではないかとふと思った。
長男のヴィンチェンツィオは結婚して家をでている。
この家族から離れて外からみている存在。
双璧をなすのが次男のシモーネと三男のロッコ。
シモーネはやんちゃでお調子者。
ロッコは真面目で優しい。
はじめは軽い気持ちのシモーネの悪さが、
どんどんエスカレートする。
ロッコはそんなシモーネを護ろうとする。
ロッコが聖人君子になればなるほど、
シモーネは行き場を失ってしまい、
堕ちるところまで堕ちてしまう。
ロッコは自己犠牲で
シモーネを許して庇おうとするのだが、、、
四男のチーロが一番現実的で冷静な判断をする。
ロッコは間違っていると指摘する。
五男のルーカはそんな兄たちをじっとみつめている。
この家族の未来といってもいいかもしれない。
最後に母親はシモーネのことを
「あの子はいいこ」だと嘆いていた。
母親の心の叫びである。
こうなってもなお息子を信じている。
物語の展開があるので、3時間は長くはなかった。
アラン・ドロンは美しい。
ナディア役のアニー・ジラルドはかっこよかった。
(2008.7.31)
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