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2010-11-29

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

2009年
フランス/香港
監督:ジョニー・トー
出演:ジョニー・アリディ/シルビィー・テステュー/アンソニー・ウォン/ラム・カートン/ラム・シュー/サイモン・ヤム/チョン・シウファイ/フェリックス.ウォン/バーグ・ウー/マギー・シュウ/ヴィンセント・ズェ/フォン・ツイフェン

20Oct.'10 早稲田松竹
★★★★☆

なんか、とにかく不条理だよなぁ。

にしても、行きがかりで請け負った仕事、
確かに仕事には違いないけど、
訳のわからないフランス人の言ってることを真に受けて、
ここまでやるのか、、、
だって、仮にも殺し屋でしょ。
フランス本国にレストランがあるのかもしれないけど、
この3人がフランスに行くことがあるとも思えないし。
自分たちのボスや組織よりなぜにコステロなのか、、、
おひとよしにもほどがある。
この殺し屋の3人、間違いなく、
オレオレ詐欺とかに簡単に騙されるなって思った(笑)
にしても、まぁ、その仁義に、そそられはする。
なんか郷愁を感じるし、
コステロも含めてみんな憎めない人物像なんだけど。

ジョニー・アリディは渋い上に、
その存在にユーモアというか、おかしさを含んでいて、
なんだか目が離せなかった。

男の世界は単純でかつ複雑で、
寅さんじゃないけど、
男はつらいなって実感した映画だった。
(2010.11.4)

2010-06-23

ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン

2007年 
フランス
監督:ホウ・シャオシェン
出演:ジュリエット・ビノシュ/イポリット・ジラルド/シモン・イテアニュ/ソン・ファン

19Feb.'09 早稲田松竹にて
★★★★★

ピアノの音が心地よかった。
その音に揺られるように風船が浮かんでいて、
違和感なく風景に溶け込んでいた。
ベビーシッターのソンは静かで穏やか。
対照的にスザンヌは慌ただしくてどこか情緒不安定。
映画自体も柔らかく和やかな空気が漂うせいで、
スザンヌの不調和が強調されて、
こっちまでなんかそわそわしてしまう。
シモンが「ぼくも、男だよ」っていったとき、
泣きそうになった。

ピアノの音を調律するように、
ココロもたまには調整しなくちゃ。
風船がいつも見守ってくれてるしね。

じんわりあったかい映画だと思う。
 (2009.6.8)

パリ、恋人たちの2日間

2007年 
フランス・ドイツ
監督・脚本・編集・音楽・出演:ジュリー・デルピー
出演:アダム・ゴールドウィン/ダニエル・ブリュール/マリー・ピレ/アルベール・デルピー

28May.'08 恵比寿ガーデンシネマにて
★★★★★

とても2日間の出来事とは思えないぐらい、
慌ただしくて大忙しで、ひっきりなしにしゃべってるし、
目まぐるしいけど、でもでも、とにかくおかしくて、
笑っちゃう。

アメリカ人とフランス人のカップル。
それぞれのアイデンティティをもちながらも、
それでもジャックはジャックだからこうであり、
マリオンもマリオンだからこうなっちゃうって、
そんな感じが最後にはした。
アメリカ人がパリにきてどうなるかとか、 何を思うかとか、
そういう広がりはあったので、 その視点でもおもしろかった。

ジュリー・デルピー、インタビューを読んでたら、
とてもパワフルで頼もしい。
でも映画の中では、すごくかわいらしかったな。

ま、男と女のあいだに起こることなんて、
イラク戦争や鳥インフルエンザに比べたら、
たいしたことじゃない。
 うん、ま、そりゃそうだな。
(2008.6.3)

地上5センチの恋心

2007年 
フランス・ベルギー
監督・脚本:エリック=エマニュエル・シュミット
出演:カトリーヌ・フロ/アルベール・デュポンテル/ファブリス・ミュルジア/ジャック・ウェベール/アラン・ドゥテー

11Apr.'08 シネスイッチ銀座にて
★★★★★

どこにでもいそうな普通のオバサンのオデット。
10年前に夫を亡くし、美容師のゲイの息子と、
無職でどこか世の中に冷めている娘の3人暮らし。
親ならそういう状況に追いつめられたり
悩んだりしそうなのだが、至って前向きで楽天的。
ラブロマンス作家のバルサンが大好きで、
本を読んでは夢心地になり、
サイン会に行くといってははしゃいでいる。

突然ミュージカル形式になってオデットが歌って踊り出す。
でも彼女のココロの明るさからすると、違和感がない。
楽しいんだもん、いいじゃないって感じ。

かといって、
恋愛に突っ走ったりするような青臭いところはなく、
ちゃんと地に足の着いた考えももってたりするから、
さすがだ。だてにオバサンをやってない。
で、そういうのが物語になるっていうところが面白かった。

幸せって何だろうなんて妙に考えちゃった。
その答えがみつかるかもしれない気がした。
 (2008.4.17)

潜水服は蝶の夢を見る

2007年 
フランス・アメリカ
監督:ジュリアン・シュナーベル 
原作:ジャン=ドミニク・ボービー 
脚本:ロナルド・ハーウッド
出演:マチュー・アマルリック/マリー=ジョゼ・クローズ/マックス・フォン・シドー

14Apr.'08 ワーナーマイカルシネマズ新百合ケ丘にて
 ★★★★★

重くなりがちなテーマでありながら、
光があふれる透明感のある映像のせいか、
穏やかな気持ちで観ることができた。
ジャン=ドーの目線の映像は慣れるまでは酔いそうになるが、
それも含めてジャン=ドーと同じ視界を体験できるのは
なかなか画期的だと思う。
それにしても、この映像のセンスの良さには脱帽である。
こういうのってやりすぎると、すごくイヤミになるけど、
ちょうどいいバランスで押さえられている。
すばらしい。 音楽の選曲もすごく好き。

「E・S・A・R・・・」
何度も何度も気が遠くなるほど繰り返される作業。
でも何事も不可能じゃない、左目と想像力と記憶があれば。
勇気をもらった。

ちょっと文句があるとすれば、
出てくる人みんなきれいな方々ばかりで、
病院も風景もとにかく美しくて、
そういう意味ではさすがにリアリティがないってことかな。
だからこそ救われていたような気もするけど。
お涙頂戴にならずにすんだのではないかとも思う。
 (2008.4.17)

ペルセポリス

2007年 
フランス
監督・脚本:マルジャン・サトラピ&ヴァンサン・パロノー
声の出演:キアラ・マストロヤンニ/カトリーヌ・ドヌーヴ/ダニエル・ダリュー

03Jul.'08 早稲田松竹にて
★★★★★

イラン。
ワタシにとっては中東の遠い国で、
長い間イラクと戦争をしていて、イスラム教で、
石油がとれる国だということぐらいしか認識がなかった。

マルジャンはワタシとほとんど同世代。
マルジャン自身が感じたり思ったりしたこととか、
好きなスターとかアーティストがいたこととか、
ケチャップつきのポテトが好きだったりとか、
そんな他愛のないことはワタシとそんなに違わない。
だけどそれを許す社会と許さない社会では、
全く違うことになってしまう。
幼い頃から身近な人が思想犯で捕まるような不条理を、
目の当たりにしなくてはならない環境。
子どもながらに感じるものは大きかっただろう。

マルジャンはとてもいいコだとはいえない。
意地悪もするし、ずるいし、間違ったこともする。
ただおかあさんだったりおばあちゃんだったり、
その度にちゃんと諭してくれる人がいた。
周りの人には恵まれてるなと思った。

この映画で、イランの問題が何か解決するわけではない。
波瀾万丈のマルジャン人生記でもなければ、
戦争反対とか何か特別な思想を訴えているわけでもない。
ただ、淡々とマルジャンが生きてきた国の状況と
マルジャンが描かれているだけ。
モノクロで、媚びてなくて、
余計なものが一切ない絵がすごく気に入った。
すんなり映画に入り込めた。

インタビューでマルジャンが実写じゃなくアニメーション、
しかもモノクロにしたのは「第三世界」の物語に
しないためだといっている。
なるほど。マルジャンがますます好きになった。
(2008.7.14)

レディ・チャタレー

2006年 
フランス
監督:パスカル・フェラン 
原作:D.H.ロレンス 
脚本:パスカル・フェラン/ロジェ・ボーボ
出演:マリナ・ハンズ/ジャン=ルイ・クロック/イポリット・ジラルド/エレーヌ・アレクサンドリディ

01May.'08 三軒茶屋シネマにて
★★★★☆

原作を読んでおくべきだったと思った。
官能小説という先入観だけで観るより、
ずっと深いものが感じられたような気がする。

ひよこを手に抱いて泣くコンスタンス。
なんだかほろりときた。
張りつめていたものがぷつんと切れちゃったんだろうな。

そんな状態の満たされないコンスタンスと、
浮世離れしたバーキン。
二人が出会ってしまったら、、、
静かに静かに燃えていく様がよくわかった。
しかも森の中の小屋だ。
なるべくして恋に落ちていくしかない。

「言葉は無用」 惹かれ合う二人には名言だと思う。
肌をよせあえればそれで満たされるのだから。

最後の展開はそれでいいのだろう。
バーキンが冷静でよかった。

成熟した大人の映画だと思った。
(2008.5.4)

エディット・ピアフ 〜愛の賛歌〜

2007年 
フランス・チェコ・イギリス
監督・脚本:オリヴィエ・ダアン
出演:マリオン・コティヤール/ジェラール・ドパルデュー

28Jun.'08 新文芸座にて
★★★★☆

壮絶な、凄まじいとしかいいようがない。
波瀾万丈だから、大衆を魅了する歌が歌えるのか、
才能に満ち溢れているから、運命に翻弄されてしまうのか。
どうして自らを擦り減らして生き急ぐのだろう。
どうして自ら幸せになる選択肢がないのだろう。
そして、お約束通りにクスリに溺れる、、、
ピアフだけじゃない。
ビリー・ホリディもそうだし、
ジャニス・ジョプリンだってそう。
苦悩と破滅ばかり、、、
ピアフは愛に生きていたはずなのに。
もっと安らかに生きる方法はなかったのか。

『愛の讃歌』は越路吹雪の方がよく耳馴染みになっていて、
ピアフのは実はちゃんと聴いたことがなかった。
独特な鼻にかかった声が、
いつまで聴いていても飽きなかった。
歌はピアフのを吹き替えにしたというのは正解だと思う。

マリオン・コティヤールは凄かった。
猫背のピアフが印象的だった。
痩せていてちっぽけで、
どこから声が出てるんだろうと思わせる演技は、
マリオンが歌ってるようにも見えたぐらいだった。

それにしても晩年のピアフは、
40代に見えないぐらい疲れきっていた。
それぐらい詰め込みすぎた人生だったのだろう。。。
(2008.7.06)

パリ、ジュテーム

2006年 
フランス・ドイツ
監督:ブリュノ・ポタリデス/グリンダ・チャーダ/ガス・ヴァン・サント ほか出演:フロレンス・ミュレール/レイク・ベクティ/ギャスパー・ウリエル/スティーヴ・ブシェミ

03Apr.'07 恵比寿ガーデンシネマにて
★★★☆☆

多種多様のパリが思う存分楽しめる。
おもいっきり人間臭く描かれているのに、
パリの街が美しいからなのか、
やっぱり憧れの異国の地の物語集という印象。

ひとつひとつ独立したお話なのだけど、
統一感があり、少しづつ付いているように思った。
次々に連想させていて、18話は結局ひとつになっている。
パリの街がそうさせているんだろうなぁ。
そういう説得力がパリにはあるんだよなぁ。

パリに行きたくなっちゃった。
(2007.4.8)

2010-06-22

夜顔

2006年 
ポルトガル/フランス
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ミシェル・ピコリ/ビュル・オジエ/リカルド・トレバ/レオノール・バルダック/ジュリア・ブイゼル

23Jun.'08 早稲田松竹にて
★★★★★

2本立てで『昼顔』と一緒に観たのだが、
もしかしたら続編としてよりも、
独立したものとして観た方が
面白かったのかもしれないと思った。

不思議な映画だった。
オーケストラのシーンが10分も続く。
パリの俯瞰の風景。彫像や建物の重厚な映像。
カットが異常に少ない。
このフレーミングがどれだけ続くんだろうと、
物語よりそっちが気になった。
やっとセヴリーヌとの食事のシーンになったのに、
台詞が気が遠くなるほど少ない。
その表情だけの演技がいつまで続くんだろうと、
またまたそんなことが気になってしまった。
で、にわとり???は、さすがに意味不明。

ミッシェル・ピコリの眼差しが
『昼顔』のそれとだぶってしまって、
やっぱり艶っぽかった。
アンリはこの再会をずっと待っていた、、、
セヴリーヌを思う、
秘めたるものを胸の奥に隠していたような眼差し。
出会ったことで、バーでは饒舌に昔の秘密を語る。
老人の穏やかに過去を辿るささやかな愉しみだ。
セブリーヌに何を贈ったのだろう。
謎は深まるばかりだけど、
わからなくていいような気がする。
これからのセヴリーヌとアンリの秘密なのだから。

その過去から38年もたったある1ページの物語。
その1ページは、移りゆく日々の中の1ページで、
ただこの日に出会ったというだけのこと。
とはいえ、その1ページがすごく丁寧で
思いのこもった70分になったということなのだけど。

百歳にならんとする巨匠オリヴェイラ監督。
その視線にただならぬ深いものを感じた。
 (2008.7.01)

2010-06-04

マイ・ブルーベリー・ナイツ

2007年 
フランス・香港
監督・製作・原案・脚本:ウォン・カーウァイ
出演:ノラ・ジョーンズ/ジュード・ロウ/デイヴィッド・ストラザーン/レイチェル・ワイズ/ナタリー・ポートマン

10Apr.'08 ワーナーマイカルシネマズ新百合ケ丘にて
★★★★☆

 久々にウォン・カーウァイの映画を観た。
『恋する惑星』の映像があまりに斬新でワクワクしたが、
それ以降の作品は予告をみただけで、
その映像にオナカがいっぱいになってしまって、
ずっと避けていた。
今回の撮影はクリストファー・ドイルじゃないし、
違うカーウァイが観られるのかと期待したけど、
やっぱり今までの映像に踏襲されているなぁ。
望遠レンズの多用とか、
引きの道路の映像はカーウァイの趣味なんだね。
スチール写真ならボケ感の強い画もキライじゃないけど、
ムービーで一部始終こればかりだといい加減、飽きるよ。
でもさすがにここまで徹底されると、
その主張に潔さすら感じるけど。

映画自体はほっこりして、
なかなかかわいい恋愛ものがたりで、
心地よく胸が温かくなった。
ジュード・ロウって、
なんかイヤミな感じがして好きじゃなかったけど、
この役どころはすごく自然でよかった。
穏やかでやさしい表情がめちゃくちゃツボだった。
でもちゃんと艶っぽさは残してるもんね。
いいよ、いい。 一気にファンになっちゃった。
ノラ・ジョーンズもかわいかったな。
素のまんまでやってる感じだったけど、
それがよかったと思う。
音楽もジャズが映画にすごく溶け込んでいたし。

全体的に『恋する惑星』を彷彿させる感じだった。
どこにでもいそうな若者が恋をして、
失恋して、旅に出て、戻ってくる、、、
だれにでもありそうな、何かを特別のことにしていない、
旅先でいろんなものをみたにしても、
それも一期一会のこと。 そんな感じがすごく気に入った。
(2008.4.11)