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2010-12-01

陸軍中野学校

1966年
日本
監督:増村保造
出演:市川雷蔵/小川真由美/加東大介/村瀬幸子/早川雄三/待田京介/仁木多鶴子/三夏伸/仲村隆/ピーター・ウイリアムス/E.H.エリック

24Oct.'10 新文芸座
★★★★☆

とにかく雷蔵がかっこいい。
前半の学校の場面ではほとんど雷蔵の台詞はないけど、
でも存在感だけはある。
実際のスパイ活動も今となってはかなり原始的だけど、
それでもその立ち振る舞いに惚れ惚れする。
そのスパイ特有の非情さ、卑劣さに、やられまくり。

小川真由美の凛とした姿にも好感がもてた。

この時点でシリーズ化されるかどうかが、
わかってたとも思えないけど、
でもなんだかその匂いがしてしまった。
増村保造ならではの艶気があるだけに、
予定調和な感じが残念に思った。
(2010.11.4)

2010-06-02

盲獣

1969年 
日本
監督:増村保造 脚本:白坂依志夫 原作:江戸川乱歩
出演:船越英二/緑魔子/千石規子

27Jun.'08 ラピュタ阿佐ヶ谷にて
★★★★★

この映画、登場人物が3人しかいない。
前半の3人の成り行きは面白かった。
最初は被害者でしかなかったアキ緑魔子が段々形勢を変えて、
道夫の母親千石規子に揺さぶりをかけ、
母親にべったりだった道夫船越英二はアキになびいていく。
三人三様の心理が交錯して縺れあうところは、
なかなか見応えがあった。

触覚芸術ってものが存在しない理由がよくわかった。
いちいちこんなことになってたら、何も残せない。
彫刻は残ったとしても、
真の意味の触覚はこの二人だけしか知らないこと。
他の誰かに伝えることは不可能だと思う。
なんて冷静でいられるような、心情じゃなかったんだけど。
そりゃ、もう怖くて、最後は観ちゃいられないし。。。

それにしても乱歩らしい話だよなぁ。
期待は裏切らないけど、、、やっぱり怖かった。
それに役者が3人とも凄まじかった。
原作は登場人物がもっといたようだが、
この映画は3人でよかったのだと思う。
主な場所は、
美術館とアキの部屋とアトリエのある倉庫の3カ所だけ。
3人のキャストと3カ所のセットで、
こんなに怖い怪奇映画ができるってことが、すばらしいと思う。

この映画を観た後にふらっと入ったカフェにあった、
茨木のり子の『歳月』という詩集をぺらぺらめくっていたら、
「その時」の冒頭の2行に釘付けになった。  

セクスには  
死の匂いがある
 
エロスと死の匂い、、、
映画の余韻のせいか、
強烈な匂いがしたような気がした。
(2008.7.04)

大悪党

 1968年 
日本
監督:増村保造
出演:田宮二郎/佐藤慶/緑魔子/倉石功

20Apr.'08 新文芸座にて
★★★★★

悪党が悪党に嵌められ、
嵌められていたと思っていたら、、、
悪党と悪党と悪党のサスペンス。

田宮二郎のニヒルな笑みがなんとも、いい。
親切そうなことを言って、何企んでるのよ? 
下心、見え見えだもんね。
そしてそして!
ワタシを釘付けにしたのは、緑魔子。
キッチュな雰囲気に当てられっぱなし。
しなやかな躯。ストレートのロングヘア。前髪は一直線。
極めつけは、ハスキーなのに甘くてほとんど息のような声。
この震えるような湿っぽい声が妙にせつなくさせる。
ストーリーは簡潔。 展開の返し方も、まぁおもしろいし、
全体的にすごくまとまってるし、情緒もあるし、
ワタシはかなり好き。

映画館ではほとんど男性だった。しかも50代以上の。 た
ぶん懐かしくて観にきてるんだと思うけど。
女性受けはしないかも。
(2008.4.25)

華岡青洲の妻

1967年 
日本
監督:増村保造
出演:市川雷蔵/若尾文子/高峰秀子/伊藤雄雄之助/渡辺美佐子/浪花千栄子/原知佐子

29Apr.'09 DVD
★★★★☆

原作を読んだのはずいぶん昔なので 、
すっかり忘れてるかと思ったら、
ちょっと観たらすぐ、 あの怖ろしさを思い出してしまった。
それがシーンを追うように映像化されていく妙な感じで、
映画を観ていた。

さすがに於継役の高峰秀子の迫力には参った。
身震いするほど怖かった。
結局これは雲平への愛というより、
嫁姑のお互いへの意地でしかない。
その意地がここまでエスカレートするんだからね。
やっぱり、怖い。

曼陀羅華が一面に咲いている風景は圧巻。
 (2009.5.22)

赤い天使

 1966年 
日本
監督:増村保造 原作:有馬頼義 脚本:笠原良三
出演:若尾文子/芦田伸介/川津祐介/千波丈太郎

06Jun.'08 神保町シアターにて
★★★★★

40年以上も前の映画で、モノクロで、
わりかしセットだなって思うところがあるのに、
なのにそれ以上に生々しかった。
麻酔もろくにせず、
のこぎりでぎこぎこ手足を切るシーンが、永遠と続く。
見たくないのに、切った残骸の手や足の指が、
バケツからはみ出していて、
それがどうしても視界に入ってくる。
モノクロでよかったとさえ思った。

あまりに極限状態の野戦病院。
不眠不休の上、
陵辱されながらも兵士を癒そうとする従軍看護婦の西。
『赤い天使』なんてよくいったものだ。
ある意味すごく男目線の都合のいい設定だと思いながらも、
この天使が兵士の夢ってやつなのか。
こういう状態だとレイプだろうがなんだろうが、
許して天使になれるのか。。。
岡部軍医に慕っていく西の健気さが胸を締めつける。
戦争だからこその恋愛なのか、究極に純粋なものを感じた。

若尾文子の背筋の伸びた凛とした姿が美しかった。
(2008.6.20)

清作の妻

1965年 
日本
監督:増村保造 原作:吉田絃二郎 脚本:新藤兼人
出演:若尾文子/田村高広/千葉信男/紺野ユカ/殿山泰司

06Jun.'08 神保町シアターにて
★★★★★

狂気の愛。 狂ってる、狂ってるよ〜
何が起こったかと思った。 どうしてそうなるの。
あぜんと、した、、、するしかなかった。
それまで、なんか淡々とコトが進んでいて、
しかもなんだか落ち着かない音楽がぐるぐる繰り返されてて、
じっとしているのがすごく辛くなって、、、
いい加減なんとかして欲しいと思っていたその瞬間、
狂気が起こった。
殺されるより、怖いコトが。
でも。
何より、誰より、
とことん純粋な愛のために起こしたコトなわけで、、、
憎悪の固まりを結局はきちんと整理して、
おかねを許した清作の男気が感動ものである。
『赤い天使』の西が天使になりきっている女であるなら、
清作も男として奇跡だと思う。
こうまでして自己を捨てて、
愛に全うできる彼らに嫉妬さえ覚える。

最後のシーン。
農作業などやろうともしなかったおかねが、
清作を連れて、清作を座らせて、鍬で土を耕している。
その二人を観たら、 狂気の事件でも村八分になっていても、
それでもこれでよかったんだろうと思わされた。

こんなふうに納得させることができるということが、
すごいのだと思う。
リアルタイムで観たかったなぁ。
(2008.6.22)

妻は告白する

1961年 
日本
監督:増村保造
出演:若尾文子/川口浩/小沢栄太郎/馬渕晴子/根上淳/高松英郎/大山健二/小山内淳/村田扶実子/此木透

20Apr.'08 新文芸座にて
★★★★★

和装の彩子(若尾文子)が、
裁判所に出廷するところから始まる。
もうそれだけで何か艶かしいことを想像してしまう、、、
すっごくいい女なんだろうと期待して。
でもそんな期待はすぐにはずされる。
齢のはなれた夫への欲求不満があらわになる。
そうなると、なんか愚痴っぽくて面倒な女という印象になる。
究極は濡れそぼった着物姿で幸田のオフィスに訊ねてくるシーンだろう、やはり。
ぎょっとした。すごい迫力だった。妖しい気を放っていた。
でもこの時点では、究極の哀れな女になっていた。
わざわざ濡れて来るなんて、びっくりはするけど、
そんなコトされたら退いちゃうでしょ。
観ているワタシも、
そのオフィスの周りの人間と同じ視線になっていた。
落ちるところまで落としておいて、
最後の幸田の婚約者役の馬淵晴子の台詞。
この台詞で、彩子が急に愛おしくなった。
ずっともやもやしていたものが、
すっと目の前からなくなっていった。
ワタシが間違ってたよと思わせられる。。。
いやはや、やられた。あっぱれと素直に思う。
(2008.4.28)

好色一代男

1961年 
日本
監督:増村保造 
脚本:白坂依志夫 原作:井原西鶴出演:市川雷蔵/若尾文子/中村玉緒/船越英二/水谷良重

27Jun.'08 ラピュタ阿佐ヶ谷にて
★★★★☆

市川雷蔵があまりに嵌っていて、面白かった。
それでもって、花がある。
色気がなけりゃ好色っても説得力がないからねぇ。
すっかり日本一の放蕩息子だったよ。
今更いうまでもないと思うけど、
いつの時代も浮き世に色恋は外せないでしょ。
刀でもなく銭でもなく、
女を大切にしようという心意気はいいんじゃないの。
「侍はきらい」というのは平和主義ってことだ。
でも湿っぽくならず、重くならず、飄々としているところが、
世之介たる所以である。
浮き世の浮き沈みで、辛いこともないわけじゃない。
旅は切り替えなくちゃってなもんで、ひょいと次。
身変わりの早さは天下一品なのだ。
いうまでもなく江戸時代の滑稽味が楽しめる。
中村玉緒はかわいかった。 あかぎれが痛々しかったけど。
(2008.7.4)

氾濫

1959年 
日本
監督:増村保造
出演:佐分利信/沢村貞子/若尾文子/川崎敬三/叶順子/左幸子/中村伸郎

20Apr.'09 DVD
★★★☆☆

ろくでもない人しか出てこない。
ここまで徹底的に金と地位と女(男)で塗り固められれば、
それはそれでお見事だと思う。
まさに欲望は氾濫してた。思いっきり。
でも、なんか期待してたほどじゃなかった。
確かに高度成長期の驕りのせいで、
見失いかけてるものやどうしようもない虚しさは、
浮き彫りになって、リアリティとしての実感はあったと思う。
だけど、なんか盛り上がりがなかった。
登場人物それぞれのえげつなさの羅列になってた。
で、どうにも救われなくて、、、
う〜ん、救っちゃ面白くないのはわかるんだけど。
いつもの増村作品の鬼気迫る感じがあまりなくて、
物足りなかったのかも。
(2009.5.21 )