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2010-12-01

陸軍中野学校 雲一号指令

1966年日本
監督:森一生
出演:村松英子/加東大介/佐藤慶/中村隆/中野誠也/伊達三郎/戸浦六宏/越川一/木村玄/森矢雄二/尾上栄五郎/原聖四郎/石原須磨男/近江輝子/香山恵子/毛利郁子/H・ジョンソン

24Oct.'10 新文芸座
★★★☆☆

雷蔵は相変わらずで、申し分ないんだけど、
一作目より力量不足を感じてしまうのは何だろう。。
エンターテイメント的には、満足できるんだけど。

加東大介はもとより、佐藤慶、戸浦六宏、
芸者役の妖しさを醸し出している村松英子等等、
脇役陣の豊富さはさすがに贅沢だなぁと思う。
(2010.11.4)

陸軍中野学校

1966年
日本
監督:増村保造
出演:市川雷蔵/小川真由美/加東大介/村瀬幸子/早川雄三/待田京介/仁木多鶴子/三夏伸/仲村隆/ピーター・ウイリアムス/E.H.エリック

24Oct.'10 新文芸座
★★★★☆

とにかく雷蔵がかっこいい。
前半の学校の場面ではほとんど雷蔵の台詞はないけど、
でも存在感だけはある。
実際のスパイ活動も今となってはかなり原始的だけど、
それでもその立ち振る舞いに惚れ惚れする。
そのスパイ特有の非情さ、卑劣さに、やられまくり。

小川真由美の凛とした姿にも好感がもてた。

この時点でシリーズ化されるかどうかが、
わかってたとも思えないけど、
でもなんだかその匂いがしてしまった。
増村保造ならではの艶気があるだけに、
予定調和な感じが残念に思った。
(2010.11.4)

2010-11-07

少年

1969年
日本
監督:大島渚 脚本:田村孟
出演:渡辺文雄/小山明子/阿部哲夫/木下剛志

 06Oct.'10 新文芸座
★★★★☆

少年はつらい。
そして、限りなく孤独だ。
自分が望んだ放浪でないだけに、
結局親のいいなりになるしかない。
逃げ出しても、死のうとしても、上手くいかない。。。
縋る何かを求めていたように思える。
継母とはいえ、母親が買ってくれた黄色い帽子や時計に、
執着していたのは、やはりそういうことな気がする。

少年がすごく素朴な子で、いい。
一重の目が印象的だった。

事実にあった話だそう。
そんな当たり方でよく騙せるものだと思いながらも、
でも危ないなぁって、ひやひやしたり、、、

雪だるまの顔が赤い長靴って、あんまりかわいくない。
少年は少女への罪の意識で、自分のしていることに気づいて、
それに立ち向かって壊すわけで、
だからいいのか、、、かわいくなくて。
ここのシーンはさすがに胸が締め付けられた。

ただ、この雪だるまが日の丸だという解釈があって、
たぶん監督はそう見せるようにしたんだろうけど、
でも少年にとっては、国家や日の丸ということより、
この状況で生きていかなくてはならないしんどさの方が、
大きいように思える。
だからこのかわいくない雪だるまにしっくりこない。
確かに父親は戦争での疵を負っていて、
国家に対して一物があるのはわかるけど。

絞死刑

1968年
日本
監督:大島渚 脚本:田村孟/佐々木守/深尾道典/大島渚
出演:佐藤慶/渡辺文雄/石堂淑朗/足立正夫/戸浦六宏/小松方正/松田政男/小山明子/尹隆道

02Oct.'10 新文芸座
★★★★★

冒頭、刑場のシーンでの死刑執行がどう行われるかの説明が、
あまりに淡々と語られリアルなので、
どれだけシリアスな映画なんだろうと思っていたら、、、

執行されて死ぬはずが、Rは死ななかった。

なるべくはずのことがそうならなかった時の、
あたふたする人間の様子がこれまたリアルに、
シニカルに描かれていた。
執行に立ち会う検察、刑務官、医者、牧師など、
それぞれの立場とそれぞれの思惑が、
生々しく露呈していく。
冒頭のシーンがあまりに深刻に語られているので、
余計にその滑稽さが際立ってみえた。

制度があって合法的で、仕事だからその場にいるわけで、
さっさと終わらせたいのが本音だろう。
かくいうワタシだって、この問題にはかなり逃げ腰。
直面せずにいられるなら、その方がいいと思ってる。
そういうどこか他人事にしてしまっている猾さも、
あからさまに見せている。
しかもRは罪人で朝鮮人。
それこそ遠い存在になっている。
けど、終盤のRの台詞に、
自分たち人間としての問題だとはたと気づく。
自分たちの問題としてぐっと近づく。

小松川事件を背景にしていて、
大島渚の信条もあるんだろうし、
時代もあるように思うし、
Rが朝鮮人で、朝鮮問題とか差別問題とかと、
死刑が絡み合っているのはそれはそれで、
興味深かった。
けど、贅沢を言えば、
Rがごく普通の典型的な日本人で、この設定だったら、
どうなってただろう。
それが観たいと思った。
(2010.10.19)

2010-08-31

黒蜥蜴

1968年
日本
監督:深作欣二 原作:江戸川乱歩 戯曲:三島由紀夫
出演:丸山明宏/木村功/川津祐介/宇佐見淳弥/松岡きっこ/西村晃/小林トシ子/丹波哲郎/三島由紀夫

28Aug.'10 新文芸座
★★★☆☆

いやはや、いやはや。
『黒蜥蜴』は結局、黒蜥蜴あってこそ。
大映版が京マチ子なら、
こちらは丸山明宏の独壇場。

もう、美しすぎる。ため息もの。
可憐でいながら、艶かしい。
その芳醇な姿から目が離せなくなった。
ホテルから逃げる男装姿には、
なんだか妙な錯覚をおこしてしまった。

オープニングのアングラ感はなかなか好きかも。
大映版から6年で随分洗練されたなぁと思う。

ただ、ストーリーは陳腐に感じてしまった。
同じ日に『陰獣』を観たせいかもしれないけど。
でもエンターテイメント性は『黒蜥蜴』の方があるんだろうな。

三島由紀夫がどういう風に出てくるのか興味津々だったけど、
さすがに、びっくり。笑っちゃった。

黒蜥蜴

1962年
日本
監督:井上梅次 原作:江戸川乱歩 劇化:三島由紀夫
出演:京マチ子/大木実/叶順子/三島雅夫/目黒幸子/川口浩/緋桜陽子/杉田康

 28Aug.'10 新文芸座
★★★☆☆

いやはや、
オールナイトで江戸川乱歩特集4作目で、
さすがに朦朧としていて、最後がこれでよかった(笑)

オドロオドロしい『黒蜥蜴』を想像していたので、
肩すかしで、笑えた。
京マチ子はさすがだ。
男装で踊ってるし。
不意をつかれてあっけにとられたけど、
別の意味で期待を裏切らない。

同じ日に丸山明宏のも観ていて、
どちらも劇化に三島由紀夫が絡んでいて、
だいたい台詞は同じ感じだったけど、
こうも違うものになるっていうのが、面白かった。
監督の違い? 配給会社の影響? 

ま、なんにしろ、京マチ子につきる。
大阪のホテルでの着物姿は、
どこにでもいそうなおばさんなのに、
ドレスになるとしっかり悪女になる。
で、この存在感。

こういう女優がいたということが、
この時代の映画の豊かさを物語っているように思う。

2010-06-25

男性・女性

1966年
フランス/スウェーデン
監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:ジャン・ピエール・レオ/シャンタル・ゴヤ/マルレーヌ・ジョベール/ブリジット・バルドー/アントワーヌ・ブルセイユ

16Apr.'10 早稲田松竹
★★★★★

相変わらずゴダール、って感じ。
映像とピストルの音、
謎めいた標語のような意味ありげな言葉は、
やっぱりゴダール。

ジャン=ピエール・レオも、
無表情で飄々としてて、でも憎めなくて、
相変わらずな感じ。

シャンタル・ゴヤがかわいらしくて、
スッピンで普通の素朴な女の子のイメージのせいか、
いつものゴダール作品よりすんなり入り込めた。

フランスの若者はなんかお洒落だよなぁ。
フレンチポップも心地いい。
ところどころに政治的メッセージがちりばめられていて、
ぴりっと締めている。スパイスになってる。
若者を描いているけど、
ただかわいいだけ、楽しいだけの映画じゃない。
それも、やっぱりゴダール。

60年代の映画なんだよね〜
全然古くないよなぁ。
(2010.4.21)

2010-06-23

夜

1961年 
イタリア
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ/ジャンヌ・モロー/モニカ・ヴィッティ/ベルンハルト・ヴィッキ

29Aug.'09 DVD
★★★★☆

ジャンヌ・モローは迫力があるなぁ。
この存在感で黙り込まれたら、ちょっと辛いかも。

マストロヤンニはかっこいい。
イタリア男だねぇ。スーツが似合う。

どうしようもなく満たされないこともある。
ひとりでふらふらしたいときもある。
夜の闇に隠れていたリディアの気持ちが、
明るくなってみえてくる。

ホントにジョバンニのこと、愛してないのかな。
トマーゾの方がよかったなんて、
亡くなって動揺してるだけじゃないの。
もしトマーゾを選んでいたとしても、
何もかもに満足して不安がないなんてことはありえない。
ジョバンニに難癖をつけてるようにしかみえない。
ジョバンニはいつもリディアを気遣っていたと思う。
リディアへの言葉に嘘はないと思う。
数時間前にヴァレンティーナを口説いていたとしても。

リディアの気持ちはもう変わらないのかな。
夜の魔物に、毒気に煽られただけだよ。
朝になってしまったら、もうどんな魔法もきかないの?
いくら濃厚なキスをしても、
リディアの頑なココロを溶かすことはできないのかな。

徹夜明けの朝に別れ話はよくない。
ろくな話にならない。さっさと帰って寝た方がいい。
一夜限りの夢ということで、
起きたら笑い話になってればいいのに。
 (2009.8.30)

アルファヴィル

1965年 
フランス/イタリア
監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:エディ・コンスタンティーヌ/アンナ・カリーナ/エイキム・タミロフ/ハワード・ヴェルノン/クリスタ・ラング

29Aug.'09 DVD
★★★★☆

ゴダールの映画の中では、かなりわかりやすい方だと思う。
表向きはSF映画で、ハードボイルドアクション系で、
しかもスパイもので、ミステリーの要素もあるかな。
これでもかっていうぐらい、エンターテイメント化してるけど、
まともにSF映画をやる気はないんだろうな。
セットなしで、ロケだけでやっちゃうって。
それでもスタイリッシュな未来都市は成立しているから、
すごいと思う。

思想統制?
言語統制?
感情統制?

共産主義批判からだとは思うけど、
それにしてもすごい未来都市ができちゃうもんだ。
でもあながちないとは言い切れないところが、
やっぱり怖かったり。

で、結局いいたいのは、最後の台詞になる。
これに集約されちゃうんだよね。

だから、ゴダールを観たくなっちゃうのよ。
面倒くさい作品が多くてもね。
これは、あまりにストレートで肩すかしだったけど(笑)
(2009.8.29)

パリところどころ

1965年 
フランス
監督・脚本:ジャン・ダニエル・ポレ/ジャン・ルーシュ/ジャン・ドゥーシェ/エリック・ロメール/ジャン・リュック・ゴダール/クロード・シャブロル

06Jun.'09 新文芸座にて
★★★★☆

映像はかなり古くなってるように感じるけど、
それでも色彩は褪せてない。
それぞれのストーリーの服とかインテリアとか、
お洒落なので、観てて飽きないし楽しい。

だけど、6話がどれもシニカルで、 救われない話ばかり。
笑ってもいいかもって思ったのは、
1話目の「サンドニ街」と、
ゴダールの「モンパルナスとルヴァロワ」かな。
「サンドニ街」はおかまいなしにやればいいじゃん。
って思えたし、ゴダールのは、
お尻蹴られたってしょうがないよ。自業自得でしょ、って感じ。
逆に、「北駅」と「ラ・ミュエット」はきつかった。
えっ、、、って思ってたら、はい、次。はい、おわり。
短編なので仕方ないけど、ちょっとやりきれない。

それぞれとてもしっかり作られているとは思うんだけど。
(2009.6.8)

2010-06-22

昼顔

1967年 
フランス
監督:ルイス・ブニュエル 
原作:ジョゼフ・ケッセル
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ジャン・ソレル/ミシェル・ピッコリ

23Jun.'08 早稲田松竹にて
★★★★★

淑女である現実と卑猥な妄想が交錯する。
セヴリーヌはついに妄想だけでは耐えられなくなり、
売春宿を訪ねる。
人妻である夜の顔と娼婦の昼の顔を使い分ける日々。
本来の自分をみつめ確認することで、
生き生きとしますます美しくなる。
皮肉なことに夫婦の関係も華やいで明るくなる。
そうこうして、どちらの顔が本当なのかわからなくなる。
どちらも現実になっていく。
現実が妄想になり、妄想が正気になっていく。
身も心も充実した生活を送っていたのだが、
でもそれはあまりに脆く危うく、、、
その満ち足りた日々は長くは続かなかった。

カトリーヌ・ドヌーヴはやはり美しかった。
当時は文句なしの正統派美人だったんだろうな。
'60年代のファッションがまたかわいくて、
すごくドヌーヴに似合っていて、
それを見てるだけでも楽しい。
ミシェル・ピコリが
ちょっと怪しさを醸し出す役どころなのだが、
妙な艶っぽさがあった。
彼の眼差しが何もかもお見通しという余裕を
感じさせるからなのかもしれないが。
(2008.7.01)

ロシュフォールの恋人たち

1966年 
フランス
監督・脚本:ジャック・ドゥミー
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/フランソワーズ・ドルレアク/ジョージ・チャキリス/ジーン・ケリー/ジャック・ペラン

18Mar.'07 ユーロスペースにて
★★★★★

ビートルズ来日の年の映画。
とてもそんな古さを感じさせなかった。

いろんな色、原色が溢れている。 すっごく斬新。
40年も経っているのに、それでも斬新。
音楽も踊りも圧巻。
この音楽、今も色褪せることなくCMとかに使われているし。
カトリーヌ・ドヌーヴって今でもきれいな人だと
当たり前のように思っていたけど、
若い頃は息をのむほど美しくかわいい。

何もかもがお洒落な映画。
品があってすれたところがなく、好感が持てる。
空がとにかく青くてどこまでも明るくて、
ココロがうきうきする。 悩みなんて吹っ飛んじゃう。
ロシュフォールに行きたくなっちゃうな。
(2007.3.19)

シェルブールの雨傘

1964年 
フランス
監督:ジャック・ドゥミー 
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ニーノ・カステルヌオーボ/マルク・ミシェル/アンヌ・ヴェルノン/ミレーユ・ペレー/アンドレ・フォルフ

26Jul.'09 DVD
★★★★★

オープニングの石畳を行き交う傘や人や自転車、
そこに打ち付ける雨を真俯瞰で見ている映像に、
まずは惹き込まれる。
いつ観ても、ここからすでに釘付けになる。
いろんな色の傘が上から、下から、右、左、斜め、並んで、
あっちにいったりこっちにきたりする。
雨なのに、雨だから、わくわくする反面、
でも、あの音楽にちょっと切なくなりながら、物語が始まる。

ストーリーはよくある恋のおはなし。
うまくいかない恋のおはなし。
まあ、人生はいろいろってことかな。

『ロシュフォールの恋人たち』が明るくどこまでも突き抜けて、
晴れて乾いているのに対して、
『シェル〜』は雨傘、、、雨だけに、湿っぽい。
じめじめはしてないけど、
ある種の湿度は残している感じがする。

あまり楽しくないストーリーでありながら暗くならないのは、
あらゆる場面での絶妙なバランスの色使いのせいだろう。
例えばギイの伯母さんのベッド周りの色が、
緑の壁に赤いカーテンである。
普通具合の悪い人のベッドなら、
もっと落ち着いた色にすると思う。
なのにかなり濃い鮮やかな色が組み合わされている。
意外にもしっくりなじんでいるから不思議なんだけど、
おかげで必要以上に悲痛にならなくてすんでいる気がする。

出てくる部屋ごとにドアや壁や窓の桟や家具が、
うまく配色されていて、
そこに人の服の色が飛び込んできても、
ぴったりあうように計算し尽くされている。
すごい、すごい。お見事としかいいようがない。
だから何度観ても、飽きないのだと思う。

もっといえば、あまり色がない駅舎の風景でさえ、
どこか鮮やかにみえてくる、、、 完全に視覚を操られてる。
やっぱり、すごい。

いいつくされていることだけど、
ドゥミ、ルグラン、ドヌーヴの、それぞれのいいものが、
それぞれを高め合ったところで、しかもすごくいい形で、
混ざり合ったのだと思う。
あらためて、そう思う。
(2009.7.28)

ウィークエンド

1967年 
フランス・イタリア
監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:ミレーユ・ダルク/ジャン・イアンヌ/ジャン・ピエール・レオ

11Apr.09 早稲田松竹にて
★★★★★

ゴダールの映画って、
たいてい「よくわからんかった」とか「寝ちゃった」とか、
そんな感想(それを感想といえるのか?)になるけど、
それでもなんだか気になるので、
チャンスがあれば観にいってしまう。
そんなことを繰り返していて最近わかったことは、
わかろうとすることとか、どういう意味かを追求することが、
そもそもナンセンスなんだということ。

ま、言ってみれば、
ワイドショーみたいなものじゃないかと思う。
例えば、だれだれが不倫をしたとして、
やいのやいの騒いでテレビで垂れ流す。
そこに意味もへったくれもなく、
わかるかどうかは問題でなく、
それをおもしろがる視聴者がいるからやってるだけ。
ただそれだけ。

この映画でも、
駐車場で隣の車にぶつけてしまいました。
ぶつけられた車の持ち主が怒ってます。
言い争いになってます。だんだん収集がつかなくなってます。
って、その様子を見せてるだけ。  

田舎道で渋滞しています。長く長く車が連なってます。
って、その状況を見せてるだけ。

週末に出かけたら、いろんなことに巻き込まれ、
その巻き込まれたことを淡々とみせている。
それががどんなにくだらないことでも、
どんなに悲惨なことでも、どんなにあり得ないようなことでも。
みせるものは衝撃的に、情報だけは雄弁に語る。

ゴダールは最後に「これはおとぎ話」だといっているけど、
映画の中で起こったことがホントかウソかなんて、
どうでもいいこと。
観客にとってはワイドショーを見るのと同じ感覚で、
自分にはふりかかってこない「おとぎ話」でしかない、
ということなんじゃないかと思う。

で、逆に、
ゴダールはこれをあえて架空の物語ということで、
やりたい放題、やりたいだけやって、
それに対して観客がどんな反応を示すのかを覗き見るために、
おもしろがって作ったんじゃないかと、そんな気がした。
(2009.6.1)

メイド・イン・U.S.A


1966年 
フランス
監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:アンナ・カリーナ/ラズロ・サボ/ジャン・ピエール・レオ/イヴ・アフォンソ/ジャン・クロード・ブイヨン/キョウコ・コサカ/マリアンヌ・フェイスフル/エルネスト・メンジェル/ジャン・リュック・ゴダール


03Aug.'09 DVD
★★★★☆

相変わらずの凄まじい色彩感覚と映像センスに、
気を取られてしまい、台詞も引用が多いし隠喩だらけで、
一回目はチンプンカンプンだった。
二度三度観るうちに、やっと、でもなんとなく、
把握できたような気がする。

プロデューサーの借金のために、
急遽、低予算で商業的に作られた映画だと、
映画サイト等にあったけど、低予算はそうだとしても、
商業的って割には不親切だよなぁ。
娯楽要素を含むために探偵ものにしたのはいいけど、
ミステリーとしての状況説明がなかったら、
観客にはさっぱりわからない。
極端に説明をしないこだわりなら、とことん貫かれている。
ゴダール的というなら、とことんゴダール的である。

舞台になっている「アトランチック・シティ」は、
レイモンド・チャンドラーの架空都市ということ
(キネマ旬報のサイトのあらすじによる)らしく、
フランス政府と共産党との抗争に巻き込まれ、恋人が殺され、
その真相解明と復讐がこの映画の物語なのだが、
想像の域は出ないけど、この物語もみんな架空だとしたら、、、
だから、『メイド・イン・USA』なのだろうと思った。
で、「血塗られたディズニーランド」なのだ。
アメリカっていう国は架空の造りもののような国だと、
揶揄してるようにとれる。 
ゴダールはホントにアメリカがキライなのね。
でも気になってしょーがないって感じだけど。
ストーリーなんて、わからないならわからなくていいわけで、
結局いいたいのは最後の台詞の、
「右も左も、時代遅れ」なのだと思う。

個人的には、
マリアンヌ・フェイスフルの『As Tears Go By』がよかった。
アカペラでささやく感じが、すごく沁みた。
(2009.8.5)

2010-06-21

彼女について私が知っている二、三の事柄

1966年 
フランス
製作:フランソワ・トリュフォー 
監督・脚本:ジャン・リュック・ゴダール
出演:マリナ・ブラディ/ロジェ・モンソレ/ラウール・レヴィ/ジャン・ナルボニ

18Apr.'08 早稲田松竹にて
★★★★☆

むずかしかった。
哲学的な言葉の羅列に理解不能、、、
なのに映像はやたらにスタイリッシュ。
目から入ってくる情報にココロを奪われていると、
それでなくてもアタマに入らない空虚な言葉は、
なおさら記号と化して、通り過ぎていく。

そうしているうちに、字面を追うことに虚しさを感じた。
ふっと力を抜いた瞬間に本意が見えるような気がした、、、
マリナ・ヴラディ扮する主婦の台詞に
「言葉だけでは表現できない。
私の表情の方が何かを語ってる。」
というのがあった。(うろ覚えなので正確じゃないです)
要はそういうことかなと思った。

真面目に観ようとするとわけがわからず退屈だと思う。
そこに映ってるものをただただそのまま見てると、
結構変なものにきがつく。
ベッドルームにかかってる首を掴んでいる絵だったり、
やたらにうるさい音のおもちゃの銃だったり、、、
意味深、きっと何か意味があるのだろうが、
それもわかんなくてもいいや。
そういう迷路を愉しめばいいんだと思う。

哲学的な言葉やスタイリッシュな映像である反面、
よくよくみるとこの主婦、けっこう人間臭いと思った
(2008.4.22)

はなればなれに

1964年 
フランス
監督:ジャン=リュック・ゴダール
出演:アンア・カリーナ/サミー・フレイ/クロード・ブラッスール
18Apr.'08 早稲田松竹にて
★★★★★

かわいい。 肩の力がすっと抜けた、
とにかくおしゃれでかわいらしい映画。

アンナ・カリーナは可憐だ。
チェックのひざ上のスカートがキュート。
自転車の手信号がステキに見えるなんて、
アンナ・カリーナだからなんだろうな。

小舟渡って川を越えたり。 ルーブルを駆け抜けたり。
「1分間沈黙してみよう」って、おもしろい。

何やっても様になるからなぁ。
この空気感に浸れるだけで、
幸せになれる。うきうきする。
 (2008.4.22)

恋人のいる時間

 1964年 
フランス
監督・脚本:ジャン・リュック・ゴダール
出演:マーシャ・メリル/ベルナール・ノエル/フィリップ・ルロワ/ロジェ・レーナール

09Aug.'08 新文芸座にて
★★★★★

モノクロの写真集の1ページ1ページを、
丁寧にめくっていくような感覚だった。

シャルロットはピエールと結婚しているが、
劇団員のロベールと不倫をしている。
妊娠3ヶ月だが、どちらの子どもかわからず悩んでいる。
だが、特に修羅場があるわけでもなく、
悩みが解決するわけでもない。
不倫の事実と妊娠の現実があるのみ。
淡々とその状況のシャルロットが描かれているだけ。
受け取り方によっては、
最後の最後に区切りがついたようにも見えたけど、、、
どうなんだろう?

マーシャ・メリルの切れ長の目にドギマギしちゃった。
子どものようにすり寄ってくるかと思えば、
するりと大人びて現実に戻ろうとするシャルロット。
まるで猫のようだ。
愛人との密会なのに、指輪は外していない。
手の描写が多かったので気になって仕方がなかった。
下着は色っぽさからはほど遠い、白いパンツと白いブラ。
でもワタシには新鮮で、なんかそそるものがあったけど。

カラダの部位をひとつひとつアップで、
写真のように見せていく手法。
ネガの反転を使う手法。
雑誌の切り抜きだったり、文字のレタリングだったり。
いろんな実験があっておもしろかった。
それがいやらしくなく、かっこいいからなぁ。
脱帽。
 (2008.9.22)

2010-06-20

軽蔑

 1963年 
フランス
監督:ジャン・リュック・ゴダール
出演:ブリジッド・バルドー/ジャック・バランス/フリッツ・ラング/ミシェル・ピコリ/ジョルジア・モル

17Jul.'09 DVD

★★★★★

男と女の永遠のテーマというか、究極の謎というか。

端で見てる分には手に取るようにわかるんだけどねぇ。
どうひいき目に見たって、
ポールのやってることはまるで逆効果なんだよね。
だからって、カミーユも依怙地になりすぎだってば。
ワタシも女だし、彼女が何にふてくされてるのかは、わかる。
「まったく、オトコってやつは、、、」って思う、ホントに。
でも、少しは折れてあげなきゃ、ポールが可哀想だよ。
訳わかんなくて空回りしちゃってるんだから。

アパートの赤いソファの部屋なら、
修復できるチャンスもあったのに。
カプリ島での青いソファの部屋では、
もうどうしようもなくなってた。
平行線どころかそっぽ向いてるから、
どんどん離れていっちゃう。
そう、他人のことだとよくわかるのよ。
でもなぜか自分のことになると、ダメだよねぇ。

ラングのホメロスの話に納得。
太古の昔から男と女って、愛だの何だの言っては、
すれ違って、もどかしくて、軽蔑して、の繰り返し。
ずっと繰り返されていた音楽のけだるさが、
まさに愛と軽蔑をいつまでも繰り返しているような
感覚にさせていた。

ブリジット・バルドーはお人形みたいだ。
男と女のものすごく人間臭い部分を突きつけながらも、
完璧な肢体はこのゴダールの映像の中では、
女神と化していた。
ふてくされてても美しく、
でもちょっと笑った顔は、なんともかわいかった。
 (2009.7.18)

女は女である

1961年 
フランス・イタリア
監督・脚本:ジャン・リュック・ゴダール
出演:ジャン・ポール・ベルモンド/ジャン・クロード・ブリアリ/アンナ・カリーナ

09Aug.'08 新文芸座にて
★★★★★

しあわせが溢れてる!
溢れてすぎて、こぼれちゃって、どうしようもなくて、
だから、笑うしかない。
そんな映画。

この映画が撮られた時、ゴダールとアンナ・カリーナが、
一番いい関係だったとのこと。
happyが満ち満ちてるもの。ナルホド、納得。
なんか、ふわふわ、わくわく、どきどき、してる。
ほっぺが弛みっぱなしで、ずっと笑ってる。

ファッションはもちろんインテリアやキッチンの小物や下着、
たてものや街の風景まで、画面に映るすべてのものが、
かわいくて、お洒落。

やっぱりカラダ中が綻んでくる。
女は女であるもの。
恋をしたい、happyになりたい女子はぜひ。
(2008.9.21)