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2010-06-02

犬神家の一族

1976年 
日本
監督・脚本:市川崑 脚本:長田紀生/日高真也
出演:石坂浩二/高峰三枝子/三条美紀/草笛光子/あおい輝彦

27Jul.'08 新文芸座にて
★★★★☆

とにかくあの音楽が頭の中をぐるぐるしていてとまらない。

横溝正史のお家騒動とか山間部の村の因習とかが絡み合って、
ドロドロした愛憎劇の中の推理小説は昔から実は大好き。
事件の背景の重々しさを残しつつ、
人間模様を描きながらそれぞれの心理をついていて、
お決まりの推理が繰り広げられる。
金田一耕助のキャラクターがしっかりしているし、
文句は特にない。
エンターテイメントとしては成功していると思う。

石坂浩二の金田一。
ちょっとかっこよすぎ?って、昔は思ってたけど、
あらためて観たらなかなかよかったかも。
(2008.8.13)

股旅

1973年 
日本
監督・脚本:市川崑 脚本:谷川俊太郎
出演:萩原健一/小倉一郎/尾藤イサオ

26Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

正義の味方や印籠が必ずでてくる時代劇が苦手なワタシには、
これは最高におもしろかった。

三人の渡世人が三人とも、
みっともなくてダサくてどうしようもないけど、
滑稽味溢れるかれらの一挙一動は憎めない愛おしさがある。
宿をみつけるのもいちいち難儀で、
いつも空腹で危険にさらされ、
まともな立ち回りもできず太刀をぶんぶん振り回すだけ。
虫けらのように生きながらえながら、
虫けらのようにあっけなく死んでいく、、、
渡世人なんてこんなもんだったんだろうなって、
妙な説得力があったりする。
そんななのに、悲愴感は不思議とない。
逆に生き生きしているようにみえる。
こういうふうにしか生きられない人種って、
いつの時代にもいるよなぁって、妙に納得できる。

ショーケンは三人の中では結局生き残る。
役得かと思いつつも、変なヒーローなんかじゃなくてよかった。
三人の中でも一番だらしなかったけど、それがよかった。
(2008.8.14)

東京オリンピック

1965年 
日本
総監督:市川崑

20Jul.'08 新文芸座にて
★★★★☆

まさにオリンピックを舞台にした人間ドラマの記録。
テレビでオリンピックが放映されれば選手が主役だけど、
この映画ではオリンピックを支えている人々や観客が、
主役になっていた。
リアルタイムで観たらホントに斬新だったろうなぁと思う。
ワタシには音楽の音が大きすぎて、ちょっと耳障りだった。
(2008.8.6)

太平洋ひとりぼっち

1963年 
日本
監督:市川崑 原作:堀江謙一 脚本:和田夏十
出演:石原裕次郎/森雅之/田中絹代/浅丘ルリ子/ハナ肇/芦屋雁之助



20Jul.'08 新文芸座にて
★★★☆☆

石原裕次郎が、魅力的だったんだとはじめて理解できた。
ヨットに乗っているときの生き生きした笑顔は確かに憎めないなと思った。
(2008.8.6)

雪之丞変化

1963年 
日本
監督:市川崑 原作:三上於菟吉 
出演:長谷川一夫/山本富士子/若尾文子/中村鴈治郎/市川雷蔵/船越英二/勝新太郎

21Jul.'08 新文芸座にて
★★☆☆☆

長谷川一夫のファンにはたまらない一本なのだろう。
映画じゃなくて、舞台で観たかった。

若尾文子は綺麗だった。
山本富士子は粋だった。
市川雷蔵のおとぼけはよかった。
(2008.8.7)

破戒

1962年 
日本
監督:市川崑
出演:市川雷蔵/長門裕之/船越英二/藤村志保/三国連太郎/中村鴈治郎/岸田今日子

21May'09 DVD
★★★★★

丑松の苦悩を演ずる雷蔵が艶っぽくて目が離せない。
合間合間にある、山の稜線や雪の景色の引きの映像が美しい。

丑松さん、笑ってないもんね。
つらいよ、そんなんじゃ。

でも部落出身を世間に公表して解放運動をしている猪子は、
背負っているものは重くても、どこか明るい。
この差は何なんだろう。
猪子が亡くなって丑松に告げる猪子の妻の台詞で、
目が覚める。なぜなのかを教えられる。
部落民だとわかっても、
丑松には支えてくれる人がいっぱいいる。
さいごはずっとこわばっていた顔が、
心なしか緩んでいた。
ちょっと、ほっとした。
(2009.5.22)

黒い十人の女

1961年 
日本
監督:市川崑 脚本:和田夏十 音楽:芥川也寸志
出演:岸恵子/山本富士子/宮城まり子/中村玉緒/岸田今日子/宇野良子/村井千恵子/有明マスミ/紺野ユカ/倉田マユミ/船越英二

25Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

初めて観たときもかっこいい映画だと惚れたけど、
今回もすっかり魅了された。

テンポよく展開していく。
10人も女がいると何をしようとするかまさに十人十色。
そして非常にビジュアル的で、ある意味シュール。
モノクロが似合ってる。

岸恵子のキャラクターがワタシの岸恵子像と180。違っていて、
めちゃくちゃ新鮮だった。
船越英二ののらくらぶりはいい味をだしていた。
 (2008.8.12)

おとうと

1960年 
日本
監督:市川崑 原作:幸田文
出演:岸恵子/川口浩/田中絹代/森雅之/仲谷昇/浜村純/岸田今日子

25Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

全体的に漂う空気感や心地いい間がとにかく好き。
「銀残し」という手法の色もとてもこの映画に合ってる。
姉とおとうとの距離感が絶妙で羨ましいぐらいだった。
お互い思いやりながら、時には嫉妬したりしながら、
べたべたするわけでも突き放すわけでもない距離感。
あひるがやってきたのには笑った。

岸恵子はかわいい。
彼女の着物とか番傘とかさりげなくお洒落だし、
家の中の家具とか器も落ち着いた感じでそれがまたいい。
姉とおとうとを通して、
この時代の家族の有り様や価値観が垣間見える。
でも実はそれは今も通用するものだと思った。
(2008.8.12)

ぼんち

1960年 
日本
監督・脚本:市川崑 原作:山崎豊子 脚色:和田夏十 
出演:市川雷蔵/若尾文子/中村玉緒/草笛光子/山田五十鈴/船越英二/京マチ子

21Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

船場の足袋問屋のぼんぼん、喜久ぼん。
飄々としてあっけらかんと次々妾をつくりながらも、
浪速のぼんちなるもの、算盤を弾くことは決して忘れない。
この商家は喜久ぼんの祖母と母が仕切っており、
女事情はその執念が絡み合っていて、そりゃ背筋が凍る。
まともに嫁にきた弘子は陰湿ないじめで離婚させられる。
が、一方妾になったと挨拶にきたぽん太には、
給与が出されたりするから、
狐と狸の化かし合いというかなんというか。

さすが山崎豊子原作だけあって、
ドロドロ加減は半端ではない。
そうでありながら、ぼんちがつきぬけているせいか、
結局、明るく乾いていて笑ってすませられる。
で、女は強いなぁって話で締めくくられる。
それも、ぼんちがどうしようもない奴でいるからこそ、
女たちも普通なら笑ってられない状況を、
受け入れられるのではないか、という気がした。

やっぱり雷蔵ぼんちははまり役である。
けっして下品にならない。
俳優陣は豪華絢爛、いろんな狐と狸に会える。
かなり贅沢な映画だと思う。
(2008.8.7)

鍵

1960年 
日本
監督:市川崑 原作:谷崎潤一郎 脚本:市川崑/長谷部慶冶/和田夏十
出演:中村鴈治郎(二代目)/京マチ子/仲代達矢/叶順子/北林谷栄

24Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

美術鑑定士の夫とその妻、娘と娘の婚約者の四人が、
どうにも空々しくて恐ろしい。
四人とも涼しげで何くわぬ顔をして家族を演じているが、
その裏ではそれぞれのエゴと欲望と執念が縺れ合っている。
妖しいエロスが渦巻いている。

中村鴈治郎は目といい、視線といいエロそのもの。
仲代達矢は計算ずくだし、叶順子の見え隠れする母への嫉妬。
ずっと本性を見せなかった京マチ子の牝狐ぶりにはやられた。
あのニヤリは犯罪でしょ。
くわばら、くわばら。
(2008.8.12)

野火

1959年 
日本
監督:市川崑 原作:大岡昇平 脚色:和田夏十 
出演:船越英二/ミッキー・カーチス/月田昌也/杉田康/山茶花究/稲葉義男/星ひかる

22Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

まさに、これが戦争というものだろう。
極限状態の敵は飢えである。
何のためにここにいるのかすらどうでもよくなる。
人間の尊厳などなんの救いになるというのか。
行く宛もなくただ戦地を彷徨う。
ただ、狂気と化していく。

野火の煙に向かう。
「普通に生活している人に会いたい」
唯一の願いだったのだろう。
戦争はそれを許してはくれないのだが。

船越英二。
最近昔の映画を観てるとよく出てきて、
すごい俳優だったんだと認識をあらたにした。
痩せすぎていて、ずっと誰だかわからなかった。
(2008.8.7)

炎上

 1958年 
日本
監督:市川崑 原作:三島由紀夫 脚本:和田夏十/長谷部慶治
出演:市川雷蔵/仲代達矢/中村鴈治郎/浦路洋子/新珠三千代/中村玉緒

19Jul.'08 新文芸座にて
★★★★★

モノクロの炎が妖しく揺らめく。
青年の魂の昇華していくような禁断の美しさ。
目映い煌めきに心を奪われる。
市川雷蔵は艶っぽかった。
吃音で抑圧されているからこそ、
端正な顔立がなお美しい。

中村鴈治郎の一見物わかり良さそうにしていながら、
その裏の奥行きの深さが立ち振る舞いでみえてくるから凄い。
仲代達矢は雷蔵とは真逆の極地の艶を感じた。

驟閣も青年もあまりに脆く儚い。
それゆえに美しいのかもしれない。
(2008.8.6)

日本橋

 1956年 
日本
監督:市川崑 原作:泉鏡花 脚色:和田夏十 
出演:淡島千景/山本富士子/若尾文子/品川隆二/柳永二郎

24Jul.'08 新文芸座にて
★★★☆☆

花街日本橋の景色が美しい。
淡島千景の気っ風のいい姐御っぷりが心地いい。
山本富士子は所作のひとつひとつがきれいで惚れ惚れする。

泉鏡花の小説をちゃんと読むべきだったと思った。
(2008.8.9)

ビルマの竪琴

1956年 
日本
監督:市川崑 原作:竹山道雄 脚色:和田夏十 
出演:安井昌二/三國連太郎/浜村純/内藤武敏/西村晃/春日俊二/北林谷栄/沢村国太郎

22Jul.'08 新文芸座にて
★★★★☆

昔からこの話があまり好きではない。
水島上等兵のとった行動はアタマでは理解できても、
根本のところではどうしても納得できない。
確かに涙ぐましい話だけど。。。

でも映画としての美しさは、
この水島上等兵の純粋さによるものであるのは否めない。
日に日に僧侶然としていく姿は凛々しい。
そして、 竪琴の旋律がカラダ中に沁みわたる。
荒んだ乾いたココロに潤いをもたらす。
降伏後とはいえ、ビルマが戦地であることを忘れてしまう。

三国連太郎の若く精悍で、
しかも優しいまなざしがたまらなくよかった。
(2008.8.7)