2010-06-19

ルードウィヒ

1972年 
イタリア・西ドイツ・フランス
監督・脚本:ルキノ・ヴィスコンティ 
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ主演:ヘルムート・バーガー/ロミー・シュナイダー

01Aug.'08 シネマヴェーラ渋谷にて
★★★★★

暗い映画だった。
夜とか、闇とか、影とかが印象的だった。
昼でも建物の中だと厚いカーテンのせいか、やっぱり暗い。
太陽が燦々と降り注いでいるシーンがほとんどない気がした。
ルードウィヒは太陽というより青白い月のイメージ。
儚く脆いガラス細工のように繊細な月の王さま。

頼りになる、支えになる、
信用できる側近がいないってのが、
ルードウィヒの最大の不幸。
政治だの経済だの戦争だのという
生臭い現実など見ようとするわけがなく、
それに立ち向かえるだけの図太さも持ち合わせていない。
美しさを追求する芸術に傾倒していくのは
自然といえば自然の成りゆき。
音楽や花や月の美しさは理解できても、
国を統治する責任の重さを実感することはない。
つまり戴冠して以降、
ルードウィヒは現実を生きてはいない。
妄想の中に放り込まれたまま、
確かなものを何一つ手にしていない。
寄りかかれるものを求めれば求めるほど、
孤立していく、、、
当然、狂うべくして狂うのである。

唯一現実があったとするならば、
エリーザベトの存在ぐらいだろう。
それすらルードウィヒにすれば
とらえることが適わない存在なのだから、
支えにもならない夢物語になってしまう。

やっぱり、ヴィスコンティ。重い、重い。
とことん隙がない。独特の緊張感がある。
とにかくピーンと張りつめている。
でもルードウィヒの美しさに惹き込まれるので、
4時間は長くなかった。
(2008.8.25)

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