2010-06-15

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2007年 
アメリカ
監督・製作・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン 
原作:アプトン・シンクレア
出演:ダニエル・デイ=ルイス/ディロン・フレイジャー/ポール・ダノ/ケビン・J・オコナー/キアラン・ハインズ

04Jun.'08 チネチッタにて
★★★★★

石油、黒い血、欲望、欺瞞、狂気、、、
まさにアメリカ経済の闇を映し出している。

音楽というよりは効果音にしか聞こえない音が、
どうしようもなく不安を煽る。
息が詰まりそうになりながら、
2時間半以上もこの主人公から目がはなせなかった。

たったひとりで鉱山を掘っていた男が
石油によって富と権力を得るが、
終いにはまたひとりになってしまう、、、
どんなに財を成しても、
というより経済の波に乗れば乗るほど、
だれも信用できなくなっていった。
「欲望と言う名の黒い血が彼を怪物に変えていく・・・」
この男が一番怖れていたのは実はこれだったのではないか。
成功の夢を追いながらもそのうらはらで、
怪物になっていくことを誰よりも察していたのではないか。
そんな気がした。

成功者となる一方で、
精神的な支えを探していたようにもみえる。
たぶんそれは、ずっとH.W.だったはず。
なのに何が大切なのかを見失い、そして結局手放してしまう。
また、神の存在も。
イーライが信仰の名のもとにつきまとってはくるのだが、
それもつまりは経済の上にのっかっている神でしかない。
胡散臭い上にあまりに不安定な神。
そんなものは神とはいえない。

石油が溢れ出る楽園だと思っていたこの地は、
信じられるものが何もない地獄だった、、、
石油という麻薬を手にしてしまったがために、
安らぎからはほど遠いこの地獄に身を置くことしか、
できなくなってしまったということか。

それにしても、ダニエル・デイ=ルイスだった。
ほとんど彼の独壇場だった。
この人の実際の顔がどんなだったかがわからなくなるほど、
この主人公そのものになっていた。
身震いするほど、すごかった。
 (2008.6.17)

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