2010-06-19

欲望

1966年 
イギリス
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:デイヴィッド・ヘミングス/ヴァネッサ・ヘミングス/サラ・マイルズ/フェルシュカ

17Aug.'09 DVD
★★★★★

主人公のスタジオが
一体どういう構造になっているのか、 すごく気になる。
住宅地みたいなのに、ずいぶん広くない?
天窓があって明るいし、いいなぁ。

ストーリーはあるんだろうけど、
いまひとつよくわからない。
とはいっても一応ドラマ性もあるし、
会話も成立しているので飽きることはない。
ただ、で、それで? で、だから? という、
観客が一番期待をするところが、
ことごとく欠落しているのだ。
それで、ちんぷんかんぷんになっちゃうんだと思う。

写真は「ありのままを写す」というのが、
本来真髄であるはずだとは思う。
写真の機能としての価値がそこにあるから。
でも実際に写真が「ありのまま」になるためには、
相当現実に正確で忠実な解釈が必要になってくる。
ドキュメンタリー写真だって、
作為が全くないなんて言い切れる写真が
どれぐらいあるだろう。

主人公はたまたま恋人たちがいる公園を撮った。
それを現像してプリントにして、並べてみて、
被写体の視線から、その視線の先を引き伸して、
また、引き伸してを繰り返して、、、
ついに見えてきた新事実。
主人公はこの写真に好奇心でいっぱいになり、
取り憑かれたように作業をする。
しかしその事実は確かに「ありのまま」だけど、
そこまで引き伸された「ありのまま」は、
粒子が荒れすぎて、すかすかで、
それだけでは何がなんだかわからない。
なんとも、皮肉な結果である。

最後のパントマイムのテニス。
ボールはないけど、テニスをしている事実。
みえない「現実」もあれば、
あったはずの「現実」が消えることも。
「ありのまま」=「現実」は、
人それぞれの受け止め方によって違ってくる。
場所が変われば、価値がなくなることもある。
人が〜だったはずと思い込んでいる「現実」ほど、
あやふやなものはない。

とにかく、かっこいい映画だ。
ファッション、写真、ロールス・ロイス、
ヤードバードのライブ、 ハービー・ハンコックの音楽、
そして、映像。
アタマなんか使わず、
これらをそのまま受け止めて、楽しんだ方がいい。
(2009.8.18)

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